「秋田ふるさと村」は、1994年に開園した県立の文化複合型のテーマパークです。1万6000㎡もの広大な敷地にプラネタリウムや美術館などいくつもの施設が点在。それらの観光やイベントを目的に訪れる方が多いなかで、もっと気軽に足を運んでもらい、樹木の香りとともに季節の移ろいを感じられる癒やしの空間をつくりたいと思ったのが、「香りの小道」プロジェクトの発端です。とはいえテーマが“香り”なので、視覚的な派手さはなく、どうやって香りの小道へ来場者を誘導するかが一番の課題でした。そこで、園内を走る汽車型連結バスの運行経路沿いに植栽エリアを設け、車窓からも四季の香りを楽しんでもらうことにしました。

車窓からも楽しめるように工夫された「香りの小道」。

また、香りの小道の開花状況をホームページやSNSに掲載し、多くの方にリアルタイムで情報を届ける工夫もしています。最近では、ウォーキングイベントのコースなどにも活用され、緑と香りを安全に楽しめる散策コースとして認知されるようになりました。今後はブルーベリーなど実のなる木の植栽を組み合わせたり、ポプリ用にラベンダーの摘み取り体験を行うなど、視覚的にも体験的にも楽しめる空間づくりを進めていきたいと思っています。

（「秋田ふるさと村」樋口栄文さん）

植栽やメンテナンスをこまめに実施。	入り口をバラ園にし、視覚的な誘導を図る。