アロマテラピー検定・資格の認定、学術調査研究の実施
著者名 | 上馬塲和夫 許鳳浩 小川弘子 尾間裕美子 長谷川由美 |
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文献名 | アロマテラピー学雑誌8(1)1-8 (2008) |
ベビーマッサージは、タッチテラピー、タッチケア、タクティールケアなどと呼ばれる皮膚を解した親と児の愛情のコミュニケーション法です。また、それは動物のグルーミングを起源にする基本的な育児技術と思われます。成長ホルモンやオキシトシンの分泌促進や脳の発達促進などの効果とともに、愛情の交流により児の絶対的信頼感の育成や母児の愛着形成の効果を持つことが明らかになってきました。そのような作用の結果、未熟児の成長促進、湿疹、喘息、若年性リウマチ、小児癌、エイズ、小児糖尿病、自閉症などへの有効性を持つばかりでなく、施術する母親自身や祖父母などにも、愛着形成の増進、不安の軽減や母性の育成、祖父母の社会性や精神的健康の増進などの効果が期待できます。これらの方法をタッチ・コミュニケーションと総称することは、本来的な目的を明確にすることでしょう。また、「三つ子の魂百まで」というように、児が成人に成長する過程にも良い影響を与えることで、社会的疾病の予防にもなることが推察できます。安価で、安全な家族のタッチ・コミュニケーションを、アロマテラピーを実践する人が家庭で実践することは、子供、両親、祖父母の健康のみならず、社会の健康にとっても意義深いことでしょう。
キーワード
ベビーマッサージ、愛着、タッチ・コミュニケーション、可能性
著者名 | 小長井ちづる 古賀良彦 |
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文献名 | アロマテラピー学雑誌8(1)9-14 (2008) |
ラベンダーの匂いが脳機能に与える影響の精油の濃度による差異を精神生理学的に明らかにすることを目的として、脳波基礎活動および事象関連電位の測定を行った。ラベンダー精油は、0.1%、1.0%、10.0%の濃度になるようにホホバ油を用いて希釈した。無臭対照はホホバ油とした。解析の結果、脳波基礎活動については、各試料呈示時のα波出現量には差異はみられなかった。一方、事象関連電位P300は、低濃度の精油の匂いを呈示した際は、無臭対照に比し潜時が短く、振幅が大きかった。以上より、これまではラベンダー精油の匂いは鎮静効果のみが強調されてきたが、希釈度を考慮することによって、脳機能を賦活される効果も得らることが示唆された。
キーワード
ラベンダー精油、α波、P300
著者名 | 石口阿希 斎藤綾 太田克也 松浦雅人 |
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文献名 | アロマテラピー学雑誌8(1)15-19 (2008) |
本研究は脳波のα波を指標にして、どのような香りが脳波を変化させ、その際の主観的評価の変化はどうなるかを明らかにすることを目的とした。被験者は健常成人20名とし、ラベンダー、ペパーミント、グレープフルーツ、ジュニパーおよびイランイランの5種類のエッセンシャルオイルを2分間嗅がせた。脳波は頭皮上14部位から記録し、FFT解析を行い、それぞれのパワー値を比較した。また同時にVASスケールを用いてそれぞれの香りについての好感度、覚醒度、疲労度および快楽度の主観的評価も行った。イランイラン、次いでラベンダーでα1パワー値が後頭部優位に増加していた。また、5種類の香りでα1パワー値の増加と有意に相関した主観的評価は覚醒度のみであった。したがって、香りの脳波に与える影響において、覚醒度が重要な役割を演じていることが明らかになった。本研究により、ラベンダーやイランイランのリラックス効果についての客観的な生理学的証拠が得られたと考える。
キーワード
香り、脳波、アルファ律動、覚醒度
著者名 | 吉原一文 千田要一 須藤信行 久保千春 |
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文献名 | アロマテラピー学雑誌8(1)21-27 (2008) |
アロマテラピーは、心身の不調和を改善する効果があることが知られている。そこで、アロマテラピーの効果について検討するために、香り暴露前後において情動視覚刺激ストレスを負荷したときの健常者の脳波を測定した。
その結果、香り暴露前ではニュートラルな視覚刺激と比較し、ネガティブな視覚刺激ストレスによって前頭葉においてδ波の振幅が減少し、後頭葉においてδ波、α波、およびβ波の振幅が減少し、左前頭葉から左側頭葉においてγ波の振幅が減少したが、香り暴露後ではこれらの振幅の有意な変化はほとんど認められなかった。
今回の調査により、ネガティブな視覚刺激ストレスに対する覚醒度・緊張度の上昇や視覚活動や思考活動の減少がアロマテラピーによって緩和される可能性が示唆された。
キーワード
アロマテラピー、脳波、情動ストレス、視覚刺激
著者名 | 上馬塲和夫 許鳳浩 小川弘子 伊藤富士子 村上志緒 安珠 林真一郎 久島達也 |
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文献名 | アロマテラピー学雑誌8(1)29-38 (2008) |
アロマテラピーでは、単なるリラックス体験や不安軽減だけでなく、時間があっという間に過ぎ去った感覚とか、宇宙に漂っているような感覚などの変性意識状態(ASC)を体験することがある。ASC体験を10種類の領域に分ける計量心理学的問診票を使い、アロマトリートメントによるASC体験について調査すると同時に、ラベンダーがASC体験に及ぼす作用について調査した。健常女性17名(37±7歳)を対象にアロマトリートメントをラベンダーの有と無の状態で行い、ASCを比較した。さらに、別の健常女性16名(38±8歳)を対象にして、ASCを起こすことが知られているアーユルヴェーダの頭部滴油療法を行い、ラベンダー添加の有無の影響を計量心理学的、生化学的方法により調査した。その結果、アロマトリートメントは、施術者により異なりはするが、頭部滴油療法と共通したASCを誘導すること、ラベンダーがアロマトリートメントにおいてだけではなく、頭部滴油療法においてもASCを深める作用を持つことが示された。さらに、ラベンダー添加により促進されたASCと唾液中IgA濃度とが有意な相関性を示すことから、ラベンダーによるASCでは、何らかの生化学的変化が体内に起きていることが示唆された。
キーワード
アロマテラピー、ラベンダー、変性意識状態、アーユルヴェーダの頭部滴油療法
著者名 | 近藤朱音 近藤真由 高橋千果 三塚加奈子 東郷敦子 松林秀彦 和泉俊一郎 |
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文献名 | アロマテラピー学雑誌8(1)39-46 (2008) |
近年補助療法・代替療法などが臨床医療の現場にも少しずつ取り入れられているが、なかでもアロマテラピーは産婦人科領域において注目されている。一方で妊娠に伴い嗅覚の変化があることも報告されているが、アロマテラピーを施術する際にその嗜好性についてはあまり考慮されていない。
本研究は妊娠女性と非妊娠女性における香りの嗜好性の相違について検討した。用いた12種類の精油は妊婦への使用が安全とされているものである。香りの評価にはVisual Analogue Scaleを用いた。
調査の結果より妊娠女性と非妊娠女性では香りの嗜好が有意に異なっていた。妊娠女性には甘美な香りが敬遠され、非妊娠女性には刺激のある香りが敬遠された。柑橘系の香りは双方とも好む傾向であり、診察室や待合室等の共有スペースで用いる場合には柑橘系の香りが適当であると考えられた。しかし最も一般的に使用されているラベンダーは個人間での嗜好性の差が大きく汎用は困難であると思われた。
妊婦の不安等の軽減、陣痛の緩和等についてアロマテラピーの報告は多くあるが、精油の効能だけでなく各人の香りの嗜好を考慮することでさらに効果が期待できると予想される。
キーワード
アロマテラピー、妊婦、嗜好性
著者名 | 山崎謙治 枝川亜希子 |
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文献名 | アロマテラピー学雑誌8(1)47-52 (2008) |
柑橘系がアロマ効果を持つことはよく知られている。柑橘類の抗菌・抗ウィルス作用を明らかにすることにより、老人施設などで多発するノロウィルスやレジオネラ菌の感染予防効果を保有した入浴アロマテラピーを提案することを目的として研究を行った。温州ミカン、レモン、ハッサク、ユズの果汁はノロウィルス代替であるネコカリシウィルス(FCV)を不活性化したが、果汁の酸による作用であると思われた。柑橘成分であるヘスペルジン、ナリンギン、シネフリン、ペクチン、リモネン、およびリモニンを用いたところ、5mg/mlのシネフリンがFCVを99.9%以上不活性化した。また10mg/mlのリモネンはLegionella pneumophila(L. pneumophila)を99.999%以上不活性化した。温州ミカン精油はFCV、L. pneumophilaの高い不活性化効果を認め、特にL. pneumophilaは1%精油液でも99.999%以上不活性化された。マンダリンオレンジアロマオイルの蒸発香気成分によるFCV、L. pneumophila不活性効果は見られなかった。結論として、リモネンを多く含む果皮由来の精油を用いることが感染予防に最も効果的であると同時に、アロマテラピーとして用いる目的に合致していると考えられた。
キーワード
アロマテラピーを用いた入浴、柑橘類、ネコカリシウィルス、レジオネラニューモフィラ