アロマテラピー検定・資格の認定、学術調査研究の実施

アロマの研究・調査

アロマテラピー学雑誌 Vol.2 No.1 (2002)

総説

江戸時代の香粧品から日本のアロマテラピーの流れを探る ―化粧の民俗の観点より―

著者名 長瀬敦子
文献名 アロマテラピー学雑誌2(1) 1-4 (2002)

江戸時代以前は、香粧品は上流階級の人達のみの楽しみであった。しかし、江戸中期に入ると政治的安定のもと、一般の人たちもそれを楽しむことができるようになっていった。
『都風俗化粧伝』は1813年(江戸中期)に出版され、化粧の仕方や流行の服装、髪型などについて書かれた本で、100年以上ものロングセラーであった。この本を参考に、江戸時代に一般的に日本の伝統的ハーブや香粧品がどんな用いられ方をしていたのかを検証した。漢方の影響を受けたものが主流であったことは否めないが、それと同時にこの時期西洋から入ってきた技術も同時に受け入れられていった様子が窺える。この傾向は大きな価値観の転換点となる明治時代中期まで続いた。

キーワード

江戸時代、伝統ハーブ、佐山半七丸著/高橋雅夫校注:都風俗化粧伝、欄引き

アロマテラピーの心理的効果発現に関する精神神経学的仮設 ―変性意識状態と確率共鳴現象―

著者名 村上志緒
文献名 アロマテラピー学雑誌2(1) 5-11 (2002)

アロマテラピーは植物の精油を用いて心身の健康を維持し促進することを目的としており、代替療法のひとつとしての位置付けをもつといえる。 リラックスやストレスケアなどの心理的効果をもつ様々な代替療法に共通する重要な特質は、対象となる各個人の性質を重視して、生命活動を維持するための多様性と全体性を整えることにより自然治癒力を誘起して増大させ、健康の維持促進を実現するというアプローチを基本とするであろうところにあると考えられる。
本報では、アロマテラピーの心理的効果の発現に関して、被術者の意識状態と、技術者自身の外的及び内的環境に関する情報の認知メカニズムを関連づけて考察した。
そして、アロマテラピーにおける精油の芳香成分やタッチなどによる感覚刺激が技術者の意識状態に変化をもたらして変性意識状態を誘起し、これに確立共鳴現象が関与して、技術者自身の外的及び内的環境(心身の状態)の微弱信号を意識的もしくは無意識的に認知可能な状態を生起するような情報伝達・処理機構の変化が生じ、内分泌系・免疫系に作用が及ぶ自然治癒力の誘起や増強につながるという仮設を述べた。

キーワード

代替療法、心理的効果、変性意識状態、確率共鳴現象

原著論文

香りによる脳循環動態と胃運動への影響

著者名 上馬場和夫、許鳳浩、田川美貴、浅蔵りか子、廣田侑耶、林真一郎、伊藤智丈、国岡聖絵
文献名 アロマテラピー学雑誌2(1) 12-21 (2002)

主な香りによる脳循環動態や胃電図の変化を、対照を使った実験により調査した。香りの中には、脳循環動態や胃電図の変化を来すものがあり、ローズマリーとラベンダーあるいはカモミールが相反する作用を有する場合があることが明らかになった。また、香りの官能テストの結果と、生理的指標との有意な関連性が認められた。特に、脳波の左右コヒーレンスや脳循環系のPI値、前頭部のdeoxyHb濃度の変化などと、香りの好き、さわやかさ、リラックス感の有無とのロジスティック回帰分析の結果では、それぞれ、リラックス感、さわやかさなどと有意に関連した。特に、香りを嗅いだ時のさわやかさが、脳循環動態への作用と関連することが示された。

キーワード

脳循環動態、胃電図、香り、左右脳波コヒーレンス

精油の安全性に関する研究(2)ラバンジュラ属精油の微生物生育阻害について(2)

著者名 野田信三、寺井規哲、岡崎渉
文献名 アロマテラピー学雑誌2(1) 23-25 (2002)

ラバンジュラ属精油とその香りが微生物生育阻害に与える影響について検討した。試験用微生物としては、皮膚常在菌Candida albicans、 Saccharomyces cerevisiae及び Streptomyces griseus subsp.griseus、 界面活性剤由来菌 Serratia sp.A3及び Bacillus sp. G21を用い、前報と同様の方法でその影響を調べた。
その結果、皮膚常在菌に対して、L.latifolia の香りに高い微生物生育阻害が認められた。これは揮発成分に含まれる1、8-cineole及び linaloolによるものと考えられた。また2種の界面活性剤由来菌、特にグラム陰性菌のSerratia sp.A3株については皮膚常在菌とは異なり、本研究に用いた精油の香りでは生育阻害は認められなかった。

キーワード

ラバンジュラ属精油、生育阻害、芳香、皮膚常在菌、界面活性剤

研究ノート

スポーツを行っている人のアロマテラピーの認識・期待と香りに対する嗜好調査

著者名 倉石愛子、原田崇美恵、庄司倫子、大森恵美子
文献名 アロマテラピー学雑誌2(1) 27-35 (2002)

スポーツにおいてアロマテラピーを併用することは行われつつある。
しかしスポーツに係わる人のアロマテラピーに対する認識は様々である。
また、スポーツしている時は肉体的にも心理的にも霊的にもいつもと異なる状態でもある。アロマテラピーがどんな形にせよ(アロマトリートメント、芳香浴など)スポーツの現場で正しく認識され使用されるには、アロマテラピーへの意識・期待、香りに対する嗜好、スポーツを行っている人の状況などを把握し実践していくことはとても必要なことである。

キーワード

スポーツ、リラックス、筋肉痛、試合、香りの嗜好

アロマテラピー愛好者のティートリーオイルの利用実態

著者名 手島佐枝子、野口千華子、森加奈子、細野俊子、野田信三
文献名 アロマテラピー学雑誌2(1) 36-42 (2002)

アロマテラピー愛好者が精油を使う場合、ティートリーオイルを選ぶ基準がはっきりしていない。彼らのティートリーオイルに対する嗜好調査を行った。その結果、経験を積むにしたがって適切な目的、方法を選択することが明らかになった。

キーワード

ティートリー油、精油、嗜好性、トリートメント