アロマテラピー検定 公式テキスト2級
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11第1章 香りに親しむ 私たちは、人や動物だけでなく草や花そして樹木や果実など、さまざまな自然の植物に囲まれて毎日を暮らしています。その植物たちは、すべて何らかの独自の香りを発散しながら、私たちを楽しませてくれています。そこには好きな香りもあれば、苦手な香りもあるでしょう。また、疲れた気持ちをふっと和らげてくれたり、すーっとさわやかにしてくれる香りもあるでしょう。あるいは何となく元気が出てきそうな香りもあるでしょう。皆さんは同じさわやかな香りを嗅いでも、花や樹木の種類によってずいぶん違うなあ、と感じた経験があると思います。これらはすべて「嗅ぐ」という行為を通して、香りに親しむことから始まります。香りは私たちの心や身体の健康にさまざまな影響をおよぼすといわれていますが、ここでは「嗅ぐ」という体験を通して、そのイメージを広げながら、香りのもついろいろな側面に意識を向けていきましょう。 香りを言葉で表現するのは難しいことです。香りは不確かで感じ取る人の主観に大きく影響を受けるものなので、音楽や詩、絵画のように、その印象を一言で表現するのは難しく、たくさんの言葉で表現することによって、それらのもつ本質が明らかになるのです。 最初は多くの人が親しみを感じているラベンダーの香りを取り上げてみます。アロマテラピーではラベンダーの花そのものではなく、香りの成分を抽出した「精油」 (注)というものを使います。皆さんがオレンジ・スイートやローズマリーなどの別の「精油」をもっているなら、それでも構いません。親しみやすい精油、興味を覚えた精油からはじめることは、イメージの広がりを容易にします。それから徐々に「精油」の範囲を広げていくとよいでしょう。香りのイメージ(注)精油(エッセンシャルオイル) 精油(エッセンシャルオイル)は、植物の花、葉、果皮、樹皮、根、種子、樹脂などから抽出した天然の素材です。有効成分を高濃度に含有した揮発性の芳香物質です。精油は、各植物によって特有の香りと機能をもち、アロマテラピーの基本となるものです。(社)日本アロマ環境協会(精油の定義)
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